デスクワークでの疲労や集中力の低下は、モニターの高さや位置が原因であることが少なくありません。適切なモニターの配置は、姿勢の改善、目の疲労軽減、そして作業効率の向上につながります。ここでは、理想的な高さや角度、設置アイテムの使い方、複数モニターの配置方法を詳しく解説します。
高さ・角度の基準

モニターの高さは「目線が画面の上端とほぼ同じ高さ」になるのが理想です。これにより首を過度に曲げず、自然な姿勢を保つことができます。目線が高すぎると首を反らす姿勢になり、肩や首の筋肉が緊張して疲労の原因になります。逆に低すぎると背中が丸まり、猫背になりやすくなるため注意が必要です。そのため、画面の上端が目線とほぼ同じか、やや下に位置するのが最も快適です。
視線は水平よりやや下(約15度下方向)を意識すると、長時間作業でも首や肩への負担を軽減できます。さらに、モニターを少し後ろに傾ける(約10〜20度)ことで、画面全体の明るさや色が均一に見えやすくなり、目の疲れを防ぐことができます。角度が合っていないと、画面の上部と下部で明るさや色味が異なって見えるため、微調整が大切です。
ノートPCを使用している場合は、スタンドを使って目線の高さに近づけ、外付けキーボードを併用すると良いでしょう。加えて、室内照明の位置を工夫し、画面の映り込みを避けることで、目の負担をさらに軽減できます。
モニター台・アームの使い方

モニターの位置を正確に調整するためには、モニター台やモニターアームの活用が効果的です。これらを使うことで、体格や作業スタイルに合わせて理想的な位置を作り出すことができます。わずかな高さの違いでも、姿勢や疲れ方に大きな影響を与えるため、導入のメリットは非常に大きいです。
モニター台の利点
モニター台は、高さを簡単に上げたい人に最適です。木製やアルミ製、引き出し付きなど種類が豊富で、デザイン性と機能性を両立できます。高さを数センチ上げるだけでも視線が自然に上がり、猫背の改善につながります。また、下部にキーボードやノートを収納できるため、デスク上をすっきりと整理することができます。ケーブルホール付きのタイプを選ぶと、配線整理にも役立ちます。
モニターアームの利点
モニターアームは上下・前後・角度を自由に調整でき、姿勢の最適化に優れています。アームの可動範囲が広いため、座り作業と立ち作業の切り替えにも対応可能です。特にガススプリング式は高さ調整がスムーズで、ワンタッチで理想の位置に動かせます。デュアルモニター構成にも適しており、角度や距離を細かく調整できる点が魅力です。購入前には耐荷重や設置方法を確認し、自分のモニターに合う製品を選びましょう。
組み合わせ活用のポイント
モニター台とアームを組み合わせれば、より柔軟な環境が作れます。たとえば、アームでモニターを浮かせ、その下に収納スペースを確保することで、デスクの作業エリアを広く使えます。最も大切なのは、自分の体格や椅子の高さに合わせて、首を自然に伸ばした姿勢で画面の中央を見られるようにすることです。これにより、長時間の作業でも首・肩・腰への負担を大きく軽減できます。
複数モニターの並べ方

デュアルモニターやトリプルモニターを使う際は、視線移動を減らす配置が重要です。適切な配置は、首の負担を軽くし、作業効率や集中力の維持にもつながります。以下のポイントを意識しましょう。
左右2画面の場合
メインモニターを正面に置き、サブモニターをやや内側(15〜30度)に傾けるのが理想です。首を大きく動かさず、目線だけで両画面を確認できる距離を保ちます。高さを揃えることで上下の視線移動を減らし、眼精疲労を防止できます。また、使用頻度に応じて左右を入れ替えることで、片側の筋肉への負担を均等にできます。
上下配置の場合
上部のモニターは目線より少し上に設置し、下方向へ約15度傾けます。下部のモニターは目線より少し下に置き、上向きに調整すると自然な視線の流れが保てます。この構成は、資料参照やチャットウィンドウ、動画視聴など、同時作業を行う場合に特に便利です。
作業内容に合わせた配置
動画編集やデザイン作業では、横並びが適しています。映像をメインモニターで確認しながら、ツールや素材をサブモニターで操作すると効率的です。一方、文書作成やプログラミングのように縦長の情報を扱う場合は、縦配置や上下構成が最適です。
明るさ・距離・バランスの調整
モニター間の明るさや色温度を揃えることで、視線移動時の違和感を軽減できます。画面の距離はおおよそ「腕を伸ばした先にモニターがある程度」が目安です。モニター間の間隔を肩幅程度に保つと、目や首の動きが自然になり、疲れにくくなります。照明の反射や背景の明暗にも気を配ることで、より快適な視覚環境が整います。
まとめ:自然な姿勢が作業効率を高める

モニターの高さや距離を最適化することは、単なる快適さの問題ではなく、作業の生産性や身体の健康、さらには日々のモチベーション維持にも直結します。正しい姿勢で作業できる環境は、肩こりや腰痛、眼精疲労といった不調の予防につながり、結果的に仕事のパフォーマンスを安定して高く保つことができます。特に長時間デスクに向かう人ほど、このような調整の効果は大きく現れます。
また、目線・姿勢・距離のバランスを整えることで、自然な呼吸が促され、集中力を長時間維持しやすくなります。姿勢が崩れると肺の動きが制限され、酸素の取り込み量が減るため、無意識のうちに集中力が低下します。逆に、正しいモニター位置を保つことで、体がリラックスした状態を維持でき、作業への没入感も高まります。さらに、日々の小さな疲労を蓄積させないことが、健康的なワークライフバランスの維持にもつながります。
最後に、自分に合った環境をつくることは「一度整えて終わり」ではありません。季節や時間帯、椅子の高さ、照明環境の変化に応じて、モニターの位置や角度を微調整する習慣を持つことが大切です。こうした小さな意識の積み重ねが、快適で効率的なデスクワークを長く続けるための秘訣です。

